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2021/09/08 20:27


こんにちは。



デザイナーの武石です。



今回の【デザイナー’s Blog】は、『スーツとシューカットパンツだけはどうかお願いします。のおはなし』です。


かなり涼しいですよね、最近。



なんかなーここは日本かなー

と思うようなねっとりと暑い8月でしたけれど。



私の住まいは、ちょっと日本離れしたおもしろエリアの中にあります。



あまり日本人は歩いていないし、軒先で年中ドリアン大量に売っていたりとか

8月頭には同じお店でランブータンのジュース(搾りたて!)の販売が始まっていました。



ドリアンは本場タイのホテルでさえも、客室への持ち込みが禁止されているほど

その、香りががちょっとその・・・なんですよね。



ですからね、マスクのフィルターなんてすっと通り抜け、オレオレオラオラと容赦無く主張してくる強烈なドリアンフレーバーと、あの亜熱帯気候のお陰で、駅へ向かう道すがら軽くトリップ状態に陥るということだったんですよね。

ちなみに少し過ごしやすくなった今週も、ドリアンはごりごり健在です。



それがスーツとシューカットパンツと何の関係があるんじゃい!

というお声が聞こえてきそうです。



すみません、今回のイントロは本当に何の伏線でもないし何の脈絡もありません。

ただ武石のちょっとした日常を垣間見せただけでした。



真面目にやろう。

ちょっと涼しくなったからって気が緩んだんだわ。

申し訳ございません。



今季新発売のシューカットパンツ、皆さんはもうご確認済みでしょうか。



こちらですね。


実はこの形自体は20-21FWにデビューしています。

だからこんなにバリエーションが有ります。


あー、どの子も良い。

惚れ惚れするよ。



こちらのデザインの特徴と言えば、いえ、言わずもがな



美しいカッティング



この一言に尽きます。



ゆとりあるワタリから膝あたりにかけ緩やかにテーパーし、また裾に向かって緩やかに広がってゆく、このラインです。

本当はもうこれ以上説明することがありません。



ですが、わたくしのこのパンツへのほとばしる情熱を語れと言われればいくらでも筆は進みますので、さあ行ってみよう。



昔、ブーツカットというものがありましたが、あの頃のアレと大きく違うのは、腰~もも周りにかなりゆとりがあること。



見た目はこんなにすっきりなのに、数値上実は結構なゆとりを持たせているので大変に動き易いというのが何よりのポイントです。



先ほどは「この子の取り柄は美しいカッティングだけだ」みたいな書き方しましたが、違います。(そんな言い方してないし)



更に注目して欲しいのはその穿き心地なのです。



長年続いたオーバーサイズの台頭で、今やジャストサイズの服もかなり窮屈に感じるということありませんか。



数年前に着ていた服、ちょっと今年また着てみよかーなんて再び袖を通してみると、



なんじゃいこりゃ!!!



という。



貴殿が太ったわけではありません。多分。

ただ最近の服が勝手に大きくなってきただけであります。



ですが、世の中には「絶対に、何をおいてもジャストサイズで着なければならない服」というのが二つあるんです。



その一つは「スーツ」。

絶対です。




そしてもう一つが




「シューカットパンツ」

ギャン!!!




いやスーツもシューカットパンツもどんなサイズで着ても別に良くない?



という過激派の武力行使がある場合は私は全力で立ち向かいますよ。

負けられない闘いがそこには、ある。



例えこのトレンドがまだ続いたとしても、何でもかんでも大きければ良いというのは違うのよ。



スーツについては別の機会にお話ししましょうね。



だからシューカットパンツはどうかこの通り!!頼みますからジャストサイズで穿いて下せぇ🙏(もう、お願いベース)



その代わり、こんなにお願いするからには作る方もそれなりの覚悟があります。



キクスドキュメントの信念としてずっとお伝えし続けておりますが、やはり「着用の快適さ」がなければ提供する意味は無いと思っています。



見た目がカッコいい服を作るのはそんなに難しいことじゃない。

そこに機能や着心地、耐久性をきちんと備えるのが、とても知恵の要る、プロの仕事なのです。



そして、私はこれが全部揃って初めて“服”だと認めています。自分の作るものは特に。



正直に打ち明けると、それが時に、ファッション特有の華やかさや突飛な面白さを演出する足枷となる場合が有ることも事実。そのジレンマは常に付き纏います。

しかし頑なにその信念を守りながら理想のデザインがなんとなく形を見せ始めると、ようやく商品として出してみようかな、となる。

貫けなければ、お客様にお披露目しようという気にならないのが面白いところです。



でも、作り始めて思いました。

これは大変だ・・・

こういうフィットのパンツは、太いパンツを作るより難しいんですよね。



シューカット型にするためには、裾を広げると同時に膝幅を絞らなければなりません。

でも、絞りすぎると屈伸の動作をした時、きつくて不快。屈伸って日常の動きの中で、意外と多いんです。



またヒップ〜膝まで全体的に細身にすればその後のシルエット作りは簡単なのですが、最近のオーバーサイズに慣れている人達は、それだと絶対穿きにくいと感じるはず。



数値上全く問題の無い設定であったとしても

です。



でも手に取ってくれる人が「ちょっといつものパンツよりキツそうだから、ワンサイズ上にしとこうかな。」じゃ意味が無いのよ。




スッキリ見えるのに、穿くとゆとりがあって着心地が良い全く新しいサイジング。

そのバランスをとるのが本当に難しいのです。



私たちもの作りの人間というのは、こういった“理屈や数値だけでは割り切れない人々の「気持ち」や「感覚」” に寄り添い、敏感に汲み取る能力が必要とされていると、常々思います。



あとはもう、見てください。

とにかく芸術的シルエットのパンツが出来あがりましたよという証拠写真がこちらです。



横から見たところなんて、もう気が狂れそうになる美しさです。


本当に、スタイルにイマイチ自信無いんだけど、という方にこそ一度試してみて欲しいんです。

ただのシューカットパンツじゃないので。



あと大事なことサラッと言いますが、今回の生地はストレッチ素材です。

穿き心地アップのためにズルした気分です。

きっと、服を着るのがまた楽しくなりますよ。



太いのも良いですが、そろそろこの渾身シューカットパンツ、穿いてみませんか。



デザイナー

武石

Who we are ?

生地・ボタン・パターン・縫製・加工、全てに日本の職人技術が宿ったAll Made in Japanブランドとして、自信を持ってプロダクトを提供します。

Kics Document. / KHONOROGICA provides products all made in Japan. All fabrics, buttons, pattern-making, sewing and finishing are made and done using the highest techniques of Japanese craftsmanship.